原子力発電

更新日:2017年11月16日

2011年3月の福島第一原子力発電所における事故以降、日本では今後の原子力政策の行方について様々な議論がされています。また、世界的に見ても、原子力発電を推進している国もあれば脱原発を目指している国もあります。

賛否両論ある原子力発電の取り扱いですが、こちらでは中立的な視点から簡単に解説させて頂きます。

仕組み

原子力発電の仕組み

こちらが原子力発電の仕組みとなります。ご覧の通り、火力発電と発電の仕組みはよく似ていますが、その特徴や長所短所などは異なっています。
(イラスト出典:電気事業連合会

主な設備

  • 原子炉
    核反応を起こして熱を発生させる設備です。その熱で水を熱し、蒸気を発生させます。火力発電でいうところのボイラーに相当する設備で、原子力発電所において最も重要なパートと言えます。軽水炉や重水炉など複数の種類があります。

  • 制御棒
    原子炉内の核反応を制御するための棒状のものです。炭化ホウ素やカドミウム合金などといった中性子の吸収能力が高い性質でできています。

  • 冷却材
    核反応を起こして発生した熱を原子炉から取り出すための材料です。軽水や溶融金属ナトリウムや炭酸ガスなどが用いられています。

  • 減速材
    原子炉内の中性子の速度を抑えるための材料です。中性子と核燃料による反応の効率を上げるという役割を果たします。軽水や重水や黒鉛が用いられます。

  • 燃料ペレット
    原子炉で使用する核燃料を固めたセラミックのことです。核燃料から発生する放射性物質をペレット内に収めておくという役割があります。

  • 燃料被覆管
    燃料ペレットを燃料被覆管の中に積み重ねたもの燃料棒と言いますが、燃料被覆管も放射能を外部へ漏らさないようにするという役割があります。

  • 原子炉圧力容器
    原子炉内の圧力を一定に保つための容器です。発電の際に前述の冷却剤は放射能が溶け出しますが、その放射能が外部に漏れないようにするという役割もあります。

  • 原子炉格納容器
    原子炉やその他の周辺装置を格納している容器です。圧力容器が破損しても放射能が外部に放出されないようにします。

  • 原子炉建屋
    原子炉格納容器からも放射能が漏れてしまった場合に、外部への放射能漏れを防ぐという役割があります。

  • 5重の壁
    前述の「燃料ペレット・燃料被覆管・原子炉圧力容器・原子炉格納容器・原子炉建屋」を総称して5重の壁と言われます。

使用する燃料

  • 天然ウラン
    ウラン235のウラン238の比率が自然に存在しているウラン資源と同じであるもの。

  • 濃縮ウラン
    天然ウランよりもウラン235の含有率が高いもの。低濃縮ウランは主に原子力発電所の核燃料として使われますが、高濃縮ウランは原子爆弾や原子力潜水艦の推進機関などに使われます。

  • 劣化ウラン
    天然ウランよりもウラン235の含有率が低いもの。

  • トリウム
    主流ではありませんが、一部の原子力発電所で用いられています。

  • プルトニウム
    プルサーマル発電の燃料や、核兵器の原料に用いられています。

種類

  • 軽水炉
    減速材に軽水を用いる原子炉です。「加圧水型原子炉」と「沸騰水型原子炉」が代表的存在です。

  • 重水炉
    減速材に重水を用いる原子炉です。「CANDU炉」「新型転換炉」「ガス冷却重水炉」が代表的存在です。

  • 黒鉛炉
    減速材に黒鉛を用いる原子炉です。「黒鉛減速ガス冷却炉」「黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉」「溶融塩原子炉」が代表的存在です。

  • 高速炉
    高速中性子を用いてエネルギーを発生させる原子炉です。「高速増殖炉」「ナトリウム冷却高速炉」「鉛冷却高速炉」「ガス冷却高速炉」などの研究が進められています。

メリット

  • 発電量の割に燃料費が安い
  • 二酸化炭素の排出量が極めて少ない
  • 安定した運営が技術力の証明になる
  • 非常に大きな電力を安定して生み出せる
  • 発電所を設けた地域では雇用増加や税収増加が見込める

デメリット

  • 危険性の高さは他の発電方法とは比べものにならないレベル
  • 放射性廃棄物の処分方法が確立していない(最終処分地確保の問題)
  • 原子力発電の技術を、核兵器や劣化ウラン弾などといった軍事兵器製造に用いることができてしまう

賛成意見

●●私は、原子力発電について、十分な安全管理がなされた上でという条件つきで、完全に賛成しています。エネルギーの安定した確保という点において、原子力発電が最も優れた方法であることは明確です。もちろん、災害や事故があった場合、リスクはありますが、それは他の発電方法でも同じことです。

また、原子力発電所を稼働することで、地域経済を発展させることができます。原子力発電所に関連する企業や、それに伴う来客に伴っての飲食店などの必要性も出てきて、長い目で見れば、その地域の活性化につながると言えます。

もちろん、徹底した安全管理は必要です。以前の教訓を活かして、地震や津波が起きた際にも十分耐えうるような強度を、原子力発電所全体に設けておけば、問題無いと言えます。

地球上のエネルギー資源が限られている中、原子力発電は効率良くエネルギーを生み出し、貯めていくことのできる最も良い手段であると言えるでしょう。原子力発電のメリットが十分、理解されることを望んでいます。

●●東日本大震災によって、原子力発電所が被災して、放射能が周囲に漏れ出てしまってからというもの、原子力発電に対する風当たりが強くなってしまいました。ですが、私個人の意見としては、原子力発電を今でも肯定する立場でいます。

今回の東日本大震災によって原子力発電所が被災してしまったのは、想定外の出来事であり、原子力発電自体を否定する事はないのではと思っています。

原子力発電はこれまで、私たちの快適な生活を、電気という形で支えてくれていました。電気を発電する方法はいくつもありますが、原子力発電ほどコストを掛けずに大電力を発電する方法はないと考えられます。

火力発電所は二酸化炭素を発生させて地球温暖化を悪化させてしまいますし、環境に良いと言われている太陽光発電は、発電効率の面で原子力発電に遠く及びません。

私たちの暮らしは、これからますます電気を大量に消費する事になると思われますから、効率良く大電力を発電できる原子力発電をこれからも使い続けるべきです。

原子力発電は放射能汚染の恐れがありますが、厳しい管理の下で運用すれば完全に防ぐ事が出来るはずですから、失敗を教訓にして安全なシステムを確立していけば、問題はないかと思います。

●●世間で廃止廃止と騒がれている原子力発電ですが、叫んでいる人たちは地球環境の悪化に対してはどんな手を打とうというのでしょうか。

もちろん、太陽光や水力や風力を整備するのは当然としても、コストの問題で一向に増えないのが現状で、将来にわたっても電力需要を満たせるほどに整備できるのはいつになるやらという状態です。

その間、メインの発電を火力で行うしかないのであれば、エコ発電が普及するより先に地球がもたない未来が現実的でしょう。

原子力発電は、放射能汚染や事故などのデメリットが多いですが、Co2を排出しないという最高のメリットを忘れがちで、地球環境のことを考えれば、原子力発電の危険性は人間が受容すべきリスクなのだと思います。

私の実家は原子力発電所からたった10km範囲にあり、子供の頃から原発が身近な地域で生活していました。原発の危険性は小学生の頃から教育されてきましたが、地球温暖化の対策になるならそれも仕方ないと思い、今も思っています。

●●原子力発電に賛成な理由としては2つあります。

一つは、安定して大量の電力を供給できるので、電力需要に対応して大規模な発電量を計算できるという点です。

ただ、日本の発電システムを原子力一辺倒にするのは問題です。一つの発電方法に比重を置きすぎると、何かトラブルになった場合に問題になりますので、数ある発電方法の一つとして原子力存続させていくべきです。

もう一つの理由としては、原子力という分野は今後、より重要な科学技術分野となっていきます。近い将来、日本が本格的に宇宙進出した場合、宇宙でのエネルギー源として原子力技術を使う機会は必ず訪れます。

そして、宇宙では当たり前に飛び回っている放射線から身を守る為の技術も必要になってきます。その時の為に、原子力発電を通して、原子力を取り扱える技術力を高めていく必要があり、原子力発電は継続してゆくべきです。

東日本大震災での福島原発の件で原発のイメージは悪くなっていますが、あれは原発自体が悪いのではなく、国の危機管理に対する甘さが出た結果です。原子力発電を継続していく上で、危機管理についての更なる議論は必要だと思います。

●●自分は原子力発電に賛成派です。理由としては、大量の電力が供給可能であるからです。オール電化などのように電化製品の利用機会が増加していることから、大量の電力を発電できるという面を見ると、とても魅力的です。

あと、発電量当たりの単価が安いので、経済性が高い。関西電力は原子力発電がないと電気料金を上げています。普通でも関西電力は電気料金の値段が高いというのに、なんてことでしょう。関西に住んでいる自分たちは堪ったものではないです。

メリットとしてもう1つ、発電時に地球温暖化の原因となる温室効果ガスが排出しないという点です。日本も先進国として地球温暖化のことを一番に考えなければなりません。

最近は異常気候が多いのは、温暖化が進んでいるせいでもあるし、生物の生態や生息地域も変わってきています。そのためには、原子力発電に頼り、発電の供給を安定にし、温室効果ガスを少なくして地球温暖化を食い止めるべきだと思います。

酸性雨や光化学スモッグなどといった、大気汚染の原因となる酸化物を出さないのもメリットの1つです。

●●世間では原子力発電を否定する動きがありますが、私は原子力発電には賛成です。

東日本大震災では大きな被害がありましたが、想定外の津波がきてしまったので仕方がないのかなと思っています。まさか20メートルの津波が来るなんて、誰もが想像もしていなかったと思います。

日本は資源に乏しい国です。原子力発電は少しのウランで大量の電気を作ることが出来るのです。今までの日本は原子力発電の発展の為に、どれだけお金をかけてきたかと考えると非常にもったいない気がしてなりません。今まで進歩してきた技術を全部捨てて、新しい発電に乗り換える事は非常に残念にも感じます。

現在の日本は、原子力発電なしで電力をすべてまかなう事は不可能です。今まで頼ってきた原子力発電を、1回の事故だけですべてがいけないという考えはおかしすぎます。

確かに、今でも放射能に汚染されている地域はあります。でも、こんな大事故は今後は起きる事がないと信じています。原子力発電の発展の為にかかわってきた技術者の方などには迷惑な話ではないでしょうか。

反対意見

●●原子力発電は非常に高価な電力施設であったということが、福島原発の原子力発電所のメルトダウンで明らかになりました。

なぜならば、一度原子力発電所が爆発したならば、その事故の後処理をするために、膨大な費用がかかることが誰の目にも明らかになったからです。この膨大な費用は東京電力が自社で何とかするのではなく、国からの支援で何とかしようとしているのです。

国からの金というものは当然税金で補填ということです。このようなことをしなければ存続できない、どうしようもない金食い虫の施設であるのならば、一民間企業がそれを管理運営することが不可能なことは誰が見ても明らかなです。

しかも、以前は原子力発電所は事故を起こしても、そこが爆破することはないと思われていました。しかし、実際には福島原子力発電所は爆発し、現在でも放射性部質を巻きちらし続けているのです。

このように、コスト面や安全性の観点から見ても、原子力発電所はろくでもない施設だと言えると思います。

●●原子力発電は、コスト的な優位さや、二酸化炭素の排出量の少ないエネルギーであることなどが報道されています。

しかし、東日本大震災での福島第一原発の事故で被害にあわれた地区の生活の再建がいまだ終わらず、補償や廃炉作業の問題、海水汚染への対策など、事故があった際のリスクがあまりにも大きすぎることが問題です。

また、正常に動いている原子力発電所を前提に考えたとしても、使用後の核燃料の処理などのコストが多大だとも言われています。

原子力発電所は補助金により地域経済の活性化に貢献しているという、ある意味人質を取るような政策もあり、原子力発電を停止してほかの電力で賄っただけでも地域経済にダメージが及ぶという難しさや、日本国内のすべての原子力発電所を同時に全面的に廃炉にしていくというのも技術的には大変難しいものがあるとは思います。

しかし、福島第一原発の事故や東海村の事故、もんじゅの稼働がうまくいかず莫大な費用が回収できていないなどもあり、原子力発電には賛成できません。

●●震災がおきるまでは私も、原発はコストが安く、環境汚染が少なく、日本の高い技術力もあって、安全で経済的な発電方法だと思っていました。しかし、震災をきっかけに私の考えも変わりました。

地震などの事故が発生した際に国民が被るリスクが高すぎる、決して安全ではない技術であることが東日本震災によって明らかになったと私は考えるので、原子力発電には反対です。

東日本大震災にともなう福島第一原発の事故および放射能汚染の被害からも明らかなように、まず被災者は自分が住む土地を奪われ、コミュニティを奪われます。被災していない国民も決して人ごとではなく、農作物などの放射能汚染の不安にさいなまれます。

このように、たった一度の災害で国民を二重にも三重にも苦しめる原子力発電はやめなくてはなりません。

また、これまで原子力発電は安いと言われてきましたが、これは事故が起きた時の想定や原発を建てる自治体へ配るお金などを計算にいれていない、かなり電力会社に都合の良い算出だといえ、あてになりません。

使用済み核燃料の問題もあります。「もんじゅ」などで解決を図りましたが、一切解決の見通しが立っていないのが現状です。ドイツのように自然エネルギーの技術向上に、国として取り組むべきだと私は思います。

●●東日本大震災まで、特に反対派でも賛成派でもありませんでしたが、東日本大震災の際の、福島原発事故での被害の大きさ、政府の対応へのいらつき、現在の状況や継続している問題点を考えると、反対せずにはいられません。

また、チェルノブイリ原発事故でのその後のことを考えたら、福島原発事故のその後についても、もう絶望しか感じられません。

確かに、原子力発電所での事故の確率は小さいのでしょう。確かに、原子力発電所の近くに住んでいた人たちはその場所を選んで住んでいたのでしょう。でも、だからといって、地震大国と言われる日本において、もしまた事故が起きたら取り返しのつかない大惨事となる可能性がある原子力発電所には、反対です。

また同じような事故が起きたときの対応も「考えてはいる」とは言うでしょうが、まったく信用なりません。また、原子力発電所を撤廃したら、確かに電気代がコストアップするのでしょうが、事故が起きたときの被害総額のほうが膨大ではないでしょうか。

それになによりも、命より大切なものはありません。国は国民の生命を守る義務があるはずです。私は断固反対です。

●●原子力発電断固反対です。誰もが思うでしょうが、一番は何か災害が起きた時の安全性かと思います。

実際に東北の大震災の際に、どれだけの人が汚染を受けたか分かりません。震災後も放射能の影響で人間はもちろんのこと、植物も異常に大きく育ったり、本来ならならないような姿になってしまった植物もたくさんありました。いまだに汚染された地域には住むこともできない状況です。

チェルノブイリ原発は今もなお汚染され、放置されたままとなっております。長い期間をかけなければ、元に戻すのは難しいと言われております。それが実際にここ日本でも起きていることが問題かと思います。

いつになればもとに戻れるのか、分かったものではないです。なにか起きた時の被害が大きすぎると思います。日本は海に囲まれているため、もしまたあのような地震が起きるのか分かりませんし、津波の心配も高いです。このような理由により原子力発電に反対致します。

●●僕自身、原子力発電は反対です。日本には非核三原則というものがありながら、核で電気作るなどおかしな話。何のために非核三原則があるのか意味不明。

しかも、今回の東北地方での大地震で原子力発電所は崩壊。被爆の不安。その後の復旧とコストも手間もかかっているくせに不安は全く解消されない。

確かにたくさんの電気を発電できますが、国民や近くに住む住人の生活の安全を考えれば、誰もが反対だと思います。人の命や環境の汚染、何らかの原因で事故が起こり、被爆する不安から考えても、コスト面や安全性から考えても、反対です。

ウランも有限なものです。いつまで資源が持つかもわからない、危険極まりないこの発電方法は絶対に反対です。日本の将来性を見ても、安全性やコスト面を考え、より環境にクリーンな発電方法を考えるべきです。

被爆の不安、安全性、コスト面。すべてにおいて、原子力発電に関しては撤廃すべきだと思います。

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