仕組みとメリットデメリット

2009年に始まった「エコカー減税」が注目を集めたことで、ハイブリッドカーや電気自動車が広く一般に知られるようになりました。ただ、同じエコカーである燃料電池車はまだ開発中で市販されていないことから、さほど知られていません。そこでこちらでは、燃料電池車の仕組みや特徴を簡潔にご紹介したいと思います。

仕組み

燃料電池車の仕組み

燃料電池の発電の仕組み

上段のイラストが燃料電池車が動く仕組みの解説図で、下段のイラストは燃料電池が発電する仕組みの解説図となっています。一般的なガソリン車では、ガソリンを燃料としてエンジンを動かしていましたが、燃料電池車ではご覧の通り、水素を燃料電池に与えることで電力を生み出し、モーターを動かすという仕組みになっています。
(上段イラスト出典:水素・燃料電池実証プロジェクト

なお、電気自動車(EV)もエンジンではなくモーターを採用していますが、決定的な違いは燃料電池ではなく蓄電池を用いているという点です。燃料電池車は燃料電池を用いて自ら発電を行いますが、電気自動車では発電をするのではなく、蓄電池に電力を蓄えておいて、その電力を使ってモーターを動かしています。

また、ハイブリッドカーはガソリン車と電気自動車の中間に位置する車です。エンジンも蓄電池も搭載されているため、ガソリンを使って動かすこともできますし、電力を使って動かすこともできます。各車とも異なる特徴を持っていますので、当サイトの「燃料電池車と電気自動車とハイブリッドカーの違い」もご参照下さい。

主な燃料電池車メーカー

2014年12月15日にトヨタ自動車が「MIRAI(ミライ)」という燃料電池車を販売することが決まり、一気に燃料電池車の知名度や関心度が高まりましたが、トヨタ以外にも燃料電池車の研究や開発を行っている自動車メーカーはあります。当サイトでは、その中でも代表的な以下の3社に注目して、ご紹介ページを設けています。

メリットデメリット

燃料電池車の仕組みに続いてご紹介するのは、メリットとデメリットです。メリットの方をご覧頂ければ「なぜ国や自動車メーカーが燃料電池車を普及させたがっているのか」が分かりますし、デメリットの方をご覧頂ければ「なぜ多くのメリットを持つ燃料電池車の普及がなかなか進まないのか」が分かります。

また、燃料電池車という全くの新しい自動車に対して、安全性に疑問を持たれている方も少なくないかと思いますので、メリットとデメリットの後に燃料電池車の安全性についてもまとめております。ぜひ併せてお読みになってみてください。

メリット・利点

トヨタやホンダや日産などといった世界的自動車メーカーが長年研究開発を続けていることからも分かる通り、燃料電池車にはとても大きなメリットがあります。代表的なものを中心に箇条書きでまとめていますが、一部については「燃料電池のメリットとデメリット」というページで詳しく解説しています。

  • 電気自動車よりも航続距離が長い
  • 電気自動車と異なり、充電が必要ではない
  • 地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない
  • ガソリン車と比べて2倍以上のエネルギー効率を誇る
  • 発電しても騒音を発生しないため、走行時はとても静か
  • 走行時に排出するのは水(水蒸気)だけなので、環境に優しい
  • 補助電源を併用することで始動性や応答性を高めることができる
  • 普通車だけではなくバス(燃料電池バス)も既に開発されている
  • 一酸化炭素や浮遊粒子状物質(PM)などといった有害なガスを排出しない
  • 燃料となる水素は、ガスや石油やバイオマスなど様々なものから製造できる

デメリット・問題点

続いてデメリットのご紹介です。デメリットや問題点と言うよりは、これから実用化に向けて克服すべき課題と言った方が的確かもしれません。主にコストに関連した内容となりますが、こちらも箇条書きでまとめてみました。

特に注目して頂きたいのが最後の「水素ステーション」に関するデメリットです。補助金や減税などによって燃料電池車が一般的に手が届くくらいの価格になったとしても、ガソリン車でいうところのガソリンスタンドの役割を果たす「水素ステーション」が全国に設置されないと、燃料電池車の普及は難しいと言わざるを得ません。

  • 燃料電池そのものの価格が高い
  • 水素の貯蔵や搬送に高いコストがかかる
  • ガソリン車ほどの航続距離は実現していない
  • 走行時の音が静かすぎる(歩行者に気付かれにくい)
  • 水素を補給するための水素ステーションの整備が求められる

事故のリスクや安全性について

「燃料電池車 事故」や「燃料電池車 安全性」などといったキーワードで、検索エンジンから当ページにアクセスしてくださる方がとても多いため、燃料電池の事故や安全性についてより詳しく解説した「燃料電池の事故と安全性」というページを公開しました。以下の3点はそちらの要約となっています。

  • 水素タンクそのものが頑丈にできている。
  • 専用のセンサーが水素の漏れを感知した場合、水素タンクのバルブを閉めることによって水素の供給を自動的に止める。
  • 万が一、専用のセンサーが作動せず、水素の供給が自動的に止まらない場合、車体内の水素濃度が高まらないよう、車外に放出できる(一つ下も参照)
  • 事故による車両炎上などによって水素タンクが炎に包まれてしまった場合、水素タンク内の圧力が高まって爆発を起こさないよう、水素タンクに取り付けられた溶栓弁から、水素を外部に放出できるようにしてある。その際の水素の放出の向きも車体後方かつ地面に斜めに向かって放出されるようになっている。